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東京地方裁判所 平成3年(行ウ)164号 判決

原告

朝木明代

矢野穂積

被告

市川一男

右訴訟代理人弁護士

奥川貴弥

高木裕康

主文

一  被告は、東京都東村山市に対し、金一二〇一万〇八三九円及びこれに対する平成三年八月三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一  当事者の求める裁判

一  請求の趣旨

1  主文同旨

2  仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告らの請求を棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告らは、東京都東村山市(以下「東村山市」という。)の住民であり、被告は、東村山市の市長である。

2  怠る事実

東村山市は、同市内に所在する別表第一の借用地欄記載の各土地(以下「本件各土地」という。)をその各所有者から同表の施設名欄記載の各体育施設用地として借り受けていたが、被告は、本件各土地が地方税法(以下「法」という。)三四八条二項一号に掲げる固定資産に当たるとして、本件各土地に対する昭和六〇年度の固定資産税(以下「本件各固定資産税」という。)をその各所有者に賦課しなかった。

3  違法性

本件各土地は、右2のとおり東村山市が別表第一の施設名欄記載の各体育施設用地として各所有者から借り受けていたものであって法三四八条二項一号に掲げる固定資産に当たるが、固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合においてはその固定資産の所有者に固定資産税を課することができるものとされ(同項ただし書)、これを受けて東村山市税条例(以下「市税条例」という。)四〇条の六は、固定資産を有料で借り受けた者がこれを法三四八条二項各号に掲げる固定資産として使用する場合においては、その固定資産の所有者に対し固定資産税を課する旨を定めているから、東村山市が本件各土地を有料で借り受けている場合にはその各所有者に固定資産税を賦課しなければならない。

しかるところ、東村山市は、昭和六〇年度の固定資産税の賦課期日(法三五九条)である同年一月一日当時本件各土地を借り受けるについてその各所有者に対し報償費の名目で3.3平方メートル当たり一か月五〇円の割合による使用料を支払っていたから、本件各土地を有料で借り受けていたものである。

したがって、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは、市税条例四〇条の六に違反し、違法である。

4  被告の故意又は重過失

(一) 原告朝木明代は、東村山市議会議員として、昭和六三年三月一六日及び平成元年三月九日の同市議会本会議において、本件各固定資産税について質問をし、市長に対し市税条例四〇条の六に従い本件各固定資産税を賦課するよう求めた。被告は、東村山市長として、右各会議の議場に出席し、同原告の質問、要求を知った。

(二)(1) 被告は、右2と同様に本件各土地が法三四八条二項一号に掲げる固定資産に当たるとして、本件各土地に対する昭和六三年度の固定資産税(以下「六三年度各固定資産税」という。)をその各所有者に賦課しなかった(以下、この事実を「六三年度に係る怠る事実」という。)。

(2) 原告らは、平成元年六月一二日東村山市監査委員に対し、六三年度に係る怠る事実について、これによって東村山市の被った損害を補填するため及び違法行為を防止するため必要な措置を講ずべき旨の監査請求(以下「六三年度に係る監査請求」という。)をしたところ、同監査委員は、平成元年八月一〇日付けで、右違法行為を防止するために必要な措置を講ずべきことは勧告したものの、右事実によって東村山市の被った損害を補填するため必要な措置を講ずべきことは勧告しなかった。

(3) 原告らは、六三年度に係る怠る事実によって東村山市は六三年度各固定資産税の合計額と同額の損害を被ったとして、平成元年九月四日当庁に、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、東村山市に代位して、被告に対し、右の損害金及びこれに対する遅延損害金を東村山市に支払うよう求める訴えを提起した(当庁同年(行ウ)第一八一号、以下、右訴えに係る損害賠償請求訴訟を「別件訴訟」という。)。

(4) 別件訴訟において、平成三年三月二七日、六三年度に係る怠る事実は市税条例四〇条の六に違反して違法であるが、六三年度各固定資産税の徴収権は、法定納期限の翌日から起算して五年間行使しないことによって時効により消滅するものであり(法一八条一項柱書)、六三年度各固定資産税の賦課決定をすることができる期間は未だ経過していないから東村山市に損害は生じていない旨判示して、原告らの請求を棄却する旨の判決(以下「別件判決」という。)がされた。

(三) 本件各土地については、平成元年度からは、賃料が支払われた上で固定資産税を賦課されるか、又は報償費が支払われることなくこれを借り受けることとされた。

(四) 被告は、東村山市の有する本件各固定資産税の徴収権が時効により消滅する日である平成二年四月三〇日が経過するまでに、右(一)及び(二)の原告朝木明代の東村山市議会における質問、要求、六三年度に係る監査請求又は別件訴訟の提起によって、本件各固定資産税を賦課しなかったことは違法であり、これによって東村山市が損害を被り、又は損害を被るおそれのあることを認識しており(そのことは右(三)の事実からも明らかである。)、少なくとも右のことを十分に認識することができた。

にもかかわらず、被告は、自らの後援者である本件各土地の各所有者の利益を図るため、右の各事情を無視し、固定資産税の賦課決定権者としての注意義務に違反して、本件各固定資産税を賦課しなかった。その結果、本件各固定資産税の徴収権は、同日の経過によって時効により消滅し、東村山市は、後記5のとおり本件各固定資産税の合計額と同額の損害を被ったのであるから、被告には、本件各固定資産税を賦課しなかったことにつき故意又は重過失があるというべきである。

5  損害

本件各固定資産税の額は、別表第一の固定資産税額欄記載のとおりであり、その合計額は一二〇一万〇八三九円である。そして、被告が違法に本件各固定資産税を賦課せず、その徴収権が時効により消滅した(法一八条二項)ことにより、東村山市は、右金額と同額の損害を被った。

6  監査請求

原告らは、平成三年四月二六日東村山市監査委員に対し、被告が本件各固定資産税を賦課しなかった事実について監査請求をしたところ、同監査委員は、右監査請求があった日から六〇日以内に監査を行わなかった。

7  よって、原告らは、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、東村山市に代位して、被告に対し、本件各固定資産税の合計額に相当する損害金一二〇一万〇八三九円及びこれに対する本件各固定資産税の徴収権が時効により消滅した後であり、本件訴状送達の日の翌日である平成三年八月三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を東村山市に支払うよう求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1の事実は認める。

2  同2の事実は認める。

3  同3のうち、本件各土地が法三四八条二項一号に掲げる固定資産に当たること、東村山市が昭和六〇年一月一日当時本件各土地を借り受けるについてその各所有者に対し3.3平方メートル当たり一か月五〇円の割合による報償費を支払っていたことは認め、その余は争う。

4(一)  同4(一)の事実は認める。

(二)(1)  同(二)(1)ないし(3)の各事実は認める。

(2) 同(4)の事実中、別件判決において六三年度各固定資産税の徴収権の消滅時効について判示がされたことは否認し、その余は認める。別件判決は、地方団体の徴収権の消滅時効(法一八条)ではなく固定資産税の賦課決定の期間制限(法一七条の五第三項)に係る期間が経過していないことを損害不発生の理由とするものである。

(三)  同(三)の事実は認める。

(四)  同(四)は争う。

5  同5のうち、本件各固定資産税の額が別表第一の固定資産税額欄記載のとおりであり、その合計額が一二〇一万〇八三九円であることは認め、その余は争う。

6  同6の事実は認める。

三  被告の主張

1  請求原因3について

(一) 法三四八条二項ただし書が、固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合においては、その固定資産の所有者に固定資産税を課することができる旨を定め、市税条例四〇条の六が、固定資産を有料で借り受けた者がこれを法三四八条二項各号に掲げる固定資産として使用する場合においては、その固定資産の所有者に対し固定資産税を課する旨を定めている趣旨は、所有者が、固定資産を貸し付けることによって使用料を得ている場合には、その収入をもって固定資産税等の租税公課を負担することができるので、そのような場合に固定資産税を課することとしても、所有者に対し特別の不利益を負わせることにはならず、その負担能力について特段の配慮をする必要がないというところにある。

そうすると、所有者が、固定資産を貸し付けるについて固定資産税の額より低額の使用料しか得ていない場合に固定資産税を課したとすると、使用料の収入によってはこれを賄うことができないのであるから、そのような所有者は、その固定資産を公共目的のために提供したにもかかわらず課税上不利益を強いられることとなるのであって、このような場合に、所有者の負担能力について特段の配慮をする必要がないとはいえないことは、所有者が、全く無償で固定資産を貸し付けている場合と同様である。

したがって、法三四八条二項ただし書及び市税条例四〇条の六にいう「固定資産を有料で借り受けた」とは、固定資産を、それに課せられる固定資産税より高額の使用料をもって借り受けた場合というものと解すべきである。

しかるところ、東村山市は、本件各土地を借り受けるについて各所有者に対し3.3平方メートル当たり一か月五〇円の割合による報償費を支払っていたが、その各報償費の額は、いずれも別表第一の固定資産税額欄記載の本件各固定資産税の額より低額である。

したがって、本件各土地には右各規定は適用されないから、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは、法三四八条二項本文により適法である。

(二) 仮に右(一)のように法三四八条二項ただし書及び市税条例四〇条の六にいう「固定資産を有料で借り受けた」について、固定資産をそれに課せられる固定資産税より高額の使用料をもって借り受けた場合をいうものと解することができないとしても、右各規定の趣旨が右(一)のようなものであることにかんがみると、それらによって固定資産税を課することができるのは、所有者がその固定資産を公共目的のために提供しているにもかかわらずなおこれに固定資産税を課しても特別に不利益であるとは認められない場合、すなわち有償契約に基づき使用の対価を得ている場合に限られるものというべく、右各規定にいう「固定資産を有料で借り受けた」とは、賃貸借契約のような有償契約に基づいて固定資産を借り受けたことを意味するものと解すべきである。

しかるところ、本件各土地の近傍土地の昭和六〇年における賃料額(建物の所有を目的としない賃貸借契約におけるもの)は別表第二の坪あたり単価欄記載のとおり、3.3平方メートル当たり月額五〇〇円ないし一三七三円であり、これと比較して、東村山市が本件各土地の借受けの報償費として支払った金額は3.3平方メートル当たり月額五〇円と、格段に低廉であり、かつ本件各固定資産税の額より低額であるから、本件各土地の貸借に有償性はなく、東村山市は、使用貸借契約に基づいて本件各土地を借り受けていたに過ぎないというべきである。

そうであれば、本件各土地には右各規定は適用されないこととなるから、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは、適法というべきである。

(三) 仮に本件各土地の借受けが「固定資産を有料で借り受けた」場合に当たるとしても、市町村の長には、固定資産を有料で借り受けた者がこれを法三四八条二項各号に掲げた固定資産として使用する場合において、この固定資産に対して固定資産税を賦課するかどうかについての裁量があり、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは、右の裁量の範囲を出るものではないから、適法というべきである。

すなわち、同項ただし書は、固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合においては、固定資産税をその「所有者に課することができる」と定め、このような場合に固定資産税を課するかどうかにつき市町村の長に裁量を認めている。一方、市税条例四〇条の六の規定は、文言上は法三四八条二項ただし書の認めた右の裁量を制限するものであるかのようにも見られるが、条例が法を受けて制定されていることからすると、市税条例四〇条の六にいう「固定資産税を課する」とは、結局法三四八条二項ただし書にいう「固定資産税を課することができる」と同義に解すべきものである。

しかして、同項ただし書の趣旨は、無料で固定資産の提供を受けた者がこれを同項各号所定の非課税用途に供している場合には、その固定資産の所有者自らが、いわば犠牲的精神でもってそれを非課税用途に供しているということができるので、その固定資産に対しては固定資産税を課さないこととする十分な理由があるという点にあるものと解されるところ、本件各土地の各所有者は、通常の賃料に比してはるかに低廉な報償費のみを受けてこれを非課税用途に提供しているのであるから、犠牲的精神によって固定資産を非課税用途に提供しているという点において右と異なるところはないというべく、本件各土地に対しては固定資産税を課さないこととする十分な理由がある。

したがって、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは、法三四八条二項ただし書及び市税条例四〇条の六の認めた裁量の範囲内にあるから、適法である。

(四) 仮に本件各土地の借受けが「固定資産を有料で借り受けた」場合に当たるとしても、法六条一項は、地方団体は、公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては課税をしないことができる旨を定めているところ、東村山市は、昭和四九年一〇月一〇日にスポーツ都市宣言をするなどして、市民のスポーツ行事への参加を促進してきた結果、市民のスポーツ人口が増加し、今日では市内のゲートボール場、少年野球場及びテニスコートが不足するに至っている。そのため、東村山市は、右のような体育施設を確保する必要があるが、時価の高騰により体育施設の用地を通常の価格で取得することは困難であるから、それに代わる用地確保の手段として、本件各土地に対する固定資産税を非課税とする一方、わずかの報償費を支払うこととして、これを借り受けたものである。

このように、本件各固定資産税を賦課しなかったのは、市民のスポーツの振興及び健康の増進という公益上の目的を達成するためであるから、同項の公益上その他の事由により課税を不適当とする場合に当たり、適法である。

(五) 仮に法及び条例上本件各土地に対し固定資産税を賦課すべきであったとすると、被告は、本件各固定資産税の賦課決定をすべき職務上の義務を負っていたこととなるが、他方、被告は、右の体育施設を確保し、利用する東村山市及び市民の利益並びに所有地を公益のため低額で同市に提供している本件各土地の各所有者の同市に対する信頼を守る義務をも負っていたものというべきである。

しかるところ、被告が本件各土地に対し固定資産税を賦課したとすれば、その各所有者は不測の損害を被り、その東村山市に対する信頼関係も破壊され、以後東村山市が本件各土地の提供を受けることは困難となる。そうなると、東村山市は、市民の必要とする右の体育施設を確保することができなくなり、被告は、体育施設を確保して市民の利益に資すべき右の義務を果すことができないこととなる。更には、東村山市が本件各土地の所有者から損害賠償請求、不当利得返還請求などを受け、本件各固定資産税の額以上の額の支出を余儀なくされる可能性もある。

このように、右の本件各固定資産税の賦課決定をする義務と体育施設の用地の確保について市民の利益及び土地所有者との信頼関係を全うする義務とは、両立し得ないものであり、被告が双方の義務をともに果たすことは不可能であった。法はそのような不可能を強いるものではないから、被告が、このように相容れない二つの義務のうち、右の後者を選択して履行したことは、両者の利害得失や、前記のような本件各土地の借受けの目的、本件各土地の貸借契約は仮にそれが法令に違反していても無効ではないと解されること、後記3のとおり被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことによって東村山市に損害は発生していないこと等の諸事情を考慮すれば妥当な判断であり、これを違法とすることはできない。

2  請求原因4について

地方公共団体がその職員に対し不法行為または債務不履行に基づいて損害賠償請求をするには、右職員に故意又は重過失のあったことを要するものと解される。しかるところ、被告には本件各固定資産税を賦課しないことによって東村山市が損害を被ることの認識はなかったので故意はない。また、被告に右の認識がなかったことは、右1(五)のとおり相容れない職務上の義務を負っており、しかも後記3のとおりこれによって東村山市に損害は発生していないという事情の下では無理からぬところであり、被告に重過失はない。

また、右1のとおり本件各土地に対し固定資産税を賦課すべきかどうかについては法解釈上困難な問題を含むので、被告が本件各固定資産税の賦課決定をすべきであったことを知らなかったことにつき重過失はない。

3  請求原因5について

(一) 地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく職員に対する損害賠償請求においては、職員の財務会計上の違法な行為又は怠る事実によって得べかりし収入を得られなかった場合であっても、右の得べかりし収入に相当する額以上の利益を右行為又は事実によって得たときは、地方公共団体は損害を被ったとはいえないと解される。

(二) ところで、本件各土地に固定資産税が課されるとすれば、その額はいずれも各所有者がこれを東村山市に貸し付けるに当たって受領する報償費の額を上回り、各所有者は、右貸付けによって却って不利益を受ける結果となるから、東村山市が極めて低廉な報償費を支払うのみで本件各土地をその各所有者から借り受けることができなかったことは明白である。そうであるとすれば、東村山市は、本件各固定資産税を賦課しないことにより、極めて低廉な報償費を支払うのみで本件各土地を使用する利益を得たものであり、その使用利益の価額は、現実に得た利益の有無、多寡にかかわらず本件各土地の相当賃料額に相当する金額であると考えられるところ、別表第二及び第三のとおり、昭和六〇年当時の本件各土地の相当賃料額(すなわち使用利益の価額)から報償費の額を控除した金額は、いずれも各土地に対する固定資産税の額を上回っている。仮に、東村山市が本件各土地に固定資産税を課した上で、本件各土地を借り受けようとすれば、その際には相当賃料額に相当する賃料を支払わざるを得ないところ、これに要する費用(支払うべき相当賃料額)が、本件各土地に固定資産税を課さず、報償費を支払うのみで借り受ける際の費用(得べかりし本件各固定資産税相当額と支払うべき報償費の額との合計額)を上回ることも、右各表のとおりである。

そうすると、東村山市は、本件各固定資産税を賦課しないことにより、本件各固定資産税の額に相当する得べかりし収入が得られなかったとしても、これを上回る利益を得たのであるから、結局、同市に本件各固定資産税を賦課しないことによる損害は発生しなかったことになる。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1、2及び6の各事実は当事者間に争いがない。

二本件各固定資産税を賦課しなかった事実の違法性について

1  請求原因3の事実中、本件各土地が法三四八条二項一号に掲げる固定資産に当たること、東村山市が昭和六〇年一月一日当時本件各土地を借り受けるについてその各所有者に対し3.3平方メートル当たり一か月五〇円の割合による報償費を支払っていたことは、当事者間に争いがない。

2(一)  そして、原告らは、右1の報償費の支払がされた以上、本件土地の借受けは法三四八条二項ただし書及び市税条例四〇条の六に定める固定資産を有料で借り受けた場合に当たるから、本件各固定資産税を賦課しなかったことは同条に反し違法である旨主張する。これに対し被告は、右各規定にいう「固定資産を有料で借り受けた」場合とは、固定資産を、それに課せられる固定資産税より高額の使用料をもって借り受けた場合をいうものと解すべきであり、仮にそうでないとしても、有償契約に基づいて借り受けた場合をいうものと解すべきである旨主張する。

(二)  そこで、右各規定にいう「固定資産を有料で借り受けた」の意義について考えるに、「有料で」との文言は、一般に財貨や役務等の利益の提供について金員の支払を必要とすることを意味するにとどまり、必ずしもその金員の額が右の提供される利益との間で対価性を有することまでを意味するとは解されない。そして、固定資産税が土地等の固定資産に対しその所有者に課され、その課税標準はその固定資産の価格とされている(法三四二条、三四三条、三四九条)ことにかんがみると、固定資産税は固定資産の所有の事実に担税力を見出して課する財産税の一種であると解され(法三四八条二項ただし書の適用される場合においてもこれを別異に解すべき理由はない。)、その固定資産に係る収益の有無や多寡はその課税と直接関連するものとはいえない。そうすると、「固定資産を有料で借り受けた」(同項ただし書及び市税条例四〇条の六)というには、固定資産の貸借と関連して、借主が貸主に一定の金員を支払う旨の合意が成立し、その合意に基づく債務の履行として金員を支払うべき関係があることをもって足り、右金員の額が取引上その固定資産の貸借の対価に相当する額に至らないものであっても、それが社会通念上無視し得る程度に少額である場合を除き、なお有料で借り受けた場合に当たると解するのが相当である。

(三)  そして、右1の争いのない事実及び弁論の全趣旨によれば、本件各土地の貸借に関連して東村山市とその各所有者との間に3.3平方メートル当たり一か月五〇円の割合による報償費を支払う旨の合意がされ、右の合意に基づく債務の履行として右1の報償費が支払われたことが認められ、この事実によれば、本件各土地の借受けは固定資産を有料で借り受けた場合に当たるというべきである。

(四)  被告は、右の固定資産を有料で借り受けた場合とは、固定資産を、それに課せられる固定資産税より高額の使用料をもって借り受けた場合をいうものと解すべきである旨主張するが、右(二)のとおり、「有料で」との文言は、利益の提供について金員の支払を必要とすることを意味し、これに当たるかどうかは右金員の額のいかんや利益との対価性の有無にはかかわらないものと解されること、固定資産税はその固定資産に係る収益の有無や多寡と直接関連することなく、固定資産の所有に着目して課される税であることにかんがみると、右の主張を採用することはできない。

(五)  被告は、右の固定資産を有料で借り受けた場合とは、有償契約に基づいて借り受けた場合をいうものと解すべきであるとも主張する。しかし、右各規定は「有料」と定め、「有償」の文言を用いていない。そして、民法上は、物の貸借契約に基づいて、借主が貸主に対しその貸借に関連する金員を支払っていたとしても、その一事をもって右の契約が当然に有償の貸借契約とされるものではなく、右金員の額のほか貸借に至る事情をも考慮し右金員が貸借の対価といい得る場合にはじめて、有償の貸借契約即ち賃貸借契約とされるのであるが、これは、賃貸借契約と使用貸借契約との間の民法上の規律の相違、ことに前者における借主の地位に、後者におけるそれに比べてはるかに厚い保護の与えられていることによるものであると考えられるところ、固定資産税の課税要件の解釈に際しては、かかる民法上の規律の相違を必ずしも考慮しなければならないものではない。以上のことに、右(二)に判示した固定資産税の性質を併せ考えると、右各規定の「有料」との文言を「有償」という趣旨に解することはできない。したがって、被告の右主張は採用することができない。

3  被告はまた、市町村の長には、固定資産を有料で借り受けた者がこれを法三四八条二項各号に掲げた固定資産として使用する場合において、その固定資産に対し固定資産税を賦課するかどうかについて裁量があり、被告が本件各固定資産税を賦課しなかったことは右裁量の範囲を出るものではないから適法である旨主張する。

確かに、同項ただし書は、右の場合に固定資産税を賦課するかどうかにつき市町村に裁量を認めたものと解されるが、法三条によれば、地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定めをするには、当該地方団体の条例によらなければならないものとされ(同条一項)、また、その長は、右の条例の実施のための手続その他その施行について必要な事項を規則で定めることができるものとされている(同条二項)。これらの規定からすると、地方団体が法三四八条二項ただし書によって付与された裁量を行使するには条例の定めによってこれをしなければならず、そのような条例の定めをまつことなく賦課権者である地方団体の長の個別的な裁量によって賦課徴収をし、又はしないことは許されないものと解される。

しかして、市税条例四〇条の六は、固定資産を有料で借り受けた者がこれを法三四八条二項に掲げる固定資産として使用する場合においてはその固定資産の所有者に対し固定資産税を課する旨を定めているのであり、東村山市は、条例上右の場合においては具体的事情を問わず一律に固定資産税を課することとしているものである。したがって、その市長には固定資産税を賦課するかどうかについて裁量が付与されていないものというべく、被告の右主張は失当である。

4  被告は更に、本件各固定資産税を賦課しなかったことは、「公益上その他の事由により課税を不適当とする場合」(法六条一項)に当たるから適法である旨主張する。

同項は、地方団体は公益上その他の事由により課税を不適当とする場合においては課税をしないことができる旨を定めるが、右3に判示したように、地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定めをするには、当該地方団体の条例によらなければならないものとされている(法三条一項)こと等にかんがみると、地方団体が法六条一項に基づき課税をしないこととする場合においては条例によりその旨の定めをしなくてはならないものと解される。

しかるに、東村山市には、法六条一項に基づき固定資産税を課さないこととする場合について定める条例の規定はないから、被告の右主張は失当である。

5  そのほか被告は、その負っていた本件各固定資産税の賦課決定をすべき義務とテニスコート等の体育施設を確保し、利用するという東村山市及び市民の利益並びに本件各土地の各所有者の同市に対する信頼を守るべき義務とは両立し得ないから、本件の具体的事情の下で後者の履行を選択し、本件各固定資産税を賦課しなかったことは、適法である旨主張する。

地方公共団体が、その住民の利用に供するテニスコート、少年野球場及びゲートボール場を設けるため、土地所有者等の協力を得てそのための場所の提供を受け、これを確保することがその重要な施策の一であることは誰しも承認するところであろう。しかし、地方公共団体といえども、その行政は、法律及び条例等の法令に基づき、これによって許容される範囲内においてのみ行われるべきものであり、ある行政目的を達成する緊急の必要があり、他にその目的を達成するための手段がない等の特段の事情のある場合に例外的にその範囲を越えた行政の是認されることがあるに過ぎないものというべきである。東村山市においては、右3に判示したとおり、市長には、法令上固定資産税を減免する裁量が付与されていないのであるから、右施策がいかに重要なものであっても、市長は、固定資産税を賦課しないという措置によって、その行政目的を達することはできないといわざるを得ないし、土地所有者等の協力を得るためには、固定資産税の免除が唯一の手段であるといえないことも明らかであろう。このように、行政機関として一旦誤った施策をとり、その誤りが公に指摘されて、これによって市に損害が生じている以上、市長としてはどのような手段を尽くしても、その違法状態を解消して損害を回復する措置をとらなければならず、それによって、土地所有者等の信頼が損なわれることがあるとしても、それは別途の手段によって処置すべき事柄であり、これをもってそのような回復措置をとらないことを正当化する理由とすることはできない。したがって、被告の右主張は失当である。

6  そうすると、本件各土地は、法三四八条二項一号に掲げる固定資産であるが、東村山市は、これを有料で借り受けたものであり、特に固定資産税を課さないこととする法令上の根拠はないこととなるから、被告は、市税条例四〇条の六によりこれに対し固定資産税の賦課決定をすべきであり、本件各固定資産税を賦課しなかったことは違法である。

三被告の故意又は過失について

1  原告らの本訴請求は、東村山市に代位して、その市長であった被告の違法に公金の賦課を怠る事実による損害の賠償を求めるものであるところ、そのような長に対する当該地方公共団体の損害賠償請求権は、民法の規定に基づいて発生するものと解されるから、その発生のためには、長が、故意又は過失によって右公金の賦課を怠ったことを要し、かつそのことをもって足り、長に故意又は重大な過失のあることを要しないものと解される。

被告は、地方公共団体がその職員に対し不法行為又は債務不履行に基づいて損害賠償請求をするには右職員に故意又は重大な過失のあったことを要するものと解すべきである旨主張するが、出納長、収入役その他の職員の普通地方公共団体に対する損害賠償責任に関する地方自治法二四三条の二第一項は、同法の定める長の当該地方公共団体の予算に関する職責並びに同条の趣旨及び内容にかんがみ長には適用がないものと解され、ほかに民法その他の法令に長の地方公共団体に対する損害賠償責任の要件を特別に定めた規定はないから、右主張は採用することができない。

2  そこで、被告に本件各固定資産税を賦課しなかったことにつき故意又は過失があったかどうかについて検討する。

(一)  請求原因4(一)、(二)(1)ないし(3)の各事実、同(4)の事実中別件判決において六三年度各固定資産税の徴収権が時効によって消滅時効についての判示がされたことを除くその余の事実及び同(三)の事実は、当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨によれば、別件判決は、六三年度に係る怠る事実は市税条例四〇条の六に違反して違法であるが、六三年度各固定資産税につき法一七条の五第三項所定の賦課決定をすることのできる期間が未だ経過しておらず、東村山市が損害を被ったとは認められないとして、請求を棄却したものであることが認められる。

(二)  右(一)の各事実に弁論の全趣旨を総合すれば、被告は、本件とは固定資産税の課税年度が異なるものの請求の趣旨及び原因、当事者並びに法律上の争点をほぼ同じくする別件訴訟について、六三年度に係る怠る事実を違法でないとする被告の各主張をいずれも採用せず、理由中において右事実を違法であると判示した上、右(一)のとおり請求を棄却した別件判決を得たことが認められ、右事実によれば、被告は、平成三年三月ころ、本件各固定資産税を賦課しなかったことが、六三年度に係る怠る事実について別件判決において判示されたとほぼ同一の理由により違法であることを認識することができたものと推認するのが相当である。

(三)  被告は、両立し得ない本件各固定資産税の賦課決定をすべき義務と、体育施設を確保し、利用するという東村山市及び市民の利益並びに本件各土地の各所有者の同市に対する信頼を守るべき義務とをともに負っていたから、被告が、本件各固定資産税を賦課しないことによって東村山市が損害を被ることを認識しなかったのは無理からぬところであり、被告には重大な過失がない旨主張する。しかしながら、右二5に判示したとおり、市長は、固定資産税を賦課しないという手段によっては、テニスコート等の体育施設を確保する目的を達すべきではなく、これらの義務が相互に矛盾背反するとはいえないから、被告が右の両者の義務又は責務を負っていたからといって、被告に本件各固定資産税を賦課しなかったことにつき過失がないとすることはできない。

(四)  被告は、東村山市は、本件各土地の借受けによって本件各固定資産税を賦課しなかったことによる損失の額を上回る額の使用利益を得ている等の事情の下では、被告が、東村山市が損害を被ることを認識しなかったのは無理からぬところであり、被告には重大な過失がないとも主張するが、被告の主張するような事情は、いずれも損害の発生についての被告の認識の可能性を左右することはあり得るとしても、本件怠る事実が違法かどうかの認識を不可能又は困難とするものではないから、右主張は失当である。

(五)  被告はまた、本件各土地に対し固定資産税を賦課すべきかどうかについては法解釈上困難な問題を含むから、被告が本件怠る事実が違法であると認識しなかったことに過失はない旨主張する。

しかしながら、右(一)及び(二)に判示したとおり、被告は、別件訴訟において六三年度に係る怠る事実が適法である旨主張したが、別件判決の理由においてこれらはいずれも採用されなかったことが認められるから、本件各土地に対し固定資産税を賦課すべきかどうかには解釈上困難な問題が含まれるとしても、別件判決の理由中の判断に依拠して、問題の所在を同じくする本件各固定資産税を賦課しなかったことの適否についても、これが違法であることを認識することは可能であったと推認される(なお、被告は、別件判決の理由中の六三年度に係る怠る事実が違法であるとの判断に不服があったが、右判決が請求棄却判決であったため控訴してこれを争うことができなかったことが窺われるが、そのような被告の不服や上訴の可否というような事情によって以上に判示したところが左右されるものではない。)。したがって、被告の右主張は採用することができない。

3  したがって、被告には、本件各固定資産税を賦課しなかったことが違法であると認識しなかったことについて過失がある。

四損害について

1(一)  請求原因5の事実中、本件各固定資産税の額が別表第一の固定資産税額欄記載のとおりであり、その合計額が一二〇一万〇八三九円であることは、当事者間に争いがない。

(二)  固定資産税の賦課決定は、法定納期限の翌日から起算して五年を経過した日以後においてはすることができないものとされ(法一七条の五第三項)、その法定納期限は、当該年度の第一期分の納期限である四月中において当該市町村の条例で定める納期の納期限とされ(法一一条の四第一項、三六二条一項)、東村山市においては、市税条例四八条一項により、四月三〇日が第一期分の納期の納期限であるとされている。したがって、本件各固定資産税の法定納期限は、昭和六〇年四月三〇日となり、本件各固定資産税の賦課決定をすることのできる期間は、平成二年四月三〇日までとなるところ、同日が経過したことは当裁判所に顕著である。

(三)  右(一)及び(二)の各事実によれば、被告は、同日が経過したことによりもはや本件各固定資産税の賦課決定をすることができなくなり、その結果、東村山市は、本件各固定資産税の合計額に相当する額一二〇一万〇八三九円の損害を被ったものというべきである。

2(一)  被告は、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づく職員に対する損害賠償請求においては、職員の財務会計上の違法な行為又は怠る事実によって得べかりし収入を得られなかった場合であっても、右得べかりし収入に相当する額以上の利益を右行為又は事実によって得たときは地方公共団体は損害を被ったとはいえないと解すべきところ、東村山市は、本件各固定資産税を賦課しなかったことによって、本件各固定資産税の額に相当する得べかりし収入が得られなかったとしても、これを上回る利益を得たとして、同市に本件各固定資産税を賦課しなかったことによる損害が発生しなかった旨主張する。

(二)  〈書証番号略〉及び弁論の全趣旨によれば、本件各土地のうち、別表第四の施設名欄記載の体育施設用地に係る各土地について、その近傍の駐車場として使用されており、同表の所在欄記載の地に所在する各土地(以下「近傍各土地」という。)の、昭和六〇年当時の自動車一台当たりの賃料(月額)、駐車場として収用することのできる自動車の台数及び面積は、それぞれ同表の一台当たり賃料欄、収用台数欄及び面積欄に記載のとおりであることが認められ、右事実によれば、近傍各土地の通常の賃料額(3.3平方メートル、一か月当たり)はそれぞれ同表の坪当たり賃料欄記載のとおりであることが認められる。

そして、東村山市が本件各土地の借受けによって得た使用利益の価額は、その目的にかんがみ本件各土地の建物の所有を目的としない賃貸借契約における通常の賃料の額に相当する額と考えられるから、右の認定事実によれば、本件各土地のうち右各土地の使用利益の価額(3.3平方メートル、一か月当たり)は、同表の坪当たり賃料欄記載の額と概ね同額であるものと推認される。

(三)  しかして、被告は、東村山市は本件各固定資産税を賦課しないことにより、低廉な報償費を支払うのみで本件各土地を使用する利益を得たものであるところ、右(二)の各土地の使用利益の価額から東村山市が右各土地を借り受けるについて支払った報償費の額を控除した額が、右各土地に対する本件固定資産税の額を上回っており、あるいは右使用利益の価額が右報償費の額と右各土地に対する本件固定資産税の額の合計額を上回っているから、東村山市は、本件各固定資産税を賦課しないことにより、本件各固定資産税の額に相当する得べかりし収入が得られなかったとしても、これを上回る利益を得たと主張する。

しかしながら、地方公共団体が賦課徴収する固定資産税は特定の使途にのみ用いるため徴収されるものではなく、当該地方公共団体の収入に組み入れられた上、その他の収入と共に当該地方公共団体の経費の支弁その他の支出の財源となり、かつ、右収入及び支出の一切は歳出歳入予算に編入されて議会の定める予算を構成し、その決算の承認を経なければならない(地方自治法二二三条、二三二条、二三二条の二、二一〇条、二一五条、九六条一項)。また、固定資産税を含む地方団体の徴収金と地方団体に対する金銭債権とは、法律による別段の規定がある場合を除き、相殺することができない(法二〇条の九)。これらの規定と、地方公共団体は、法及び当該地方公共団体の地方税に関する条例その他の地方税に関する法令の規定によって、固定資産税の課税要件を充足する場合にはその賦課徴収を行わなければならず(東村山市の場合、右各法令上、その長に対し法三四八条二項ただし書又は法六条一項に基づいて個別的に賦課徴収を行わないことができるとする裁量は付与されていないことは、右二の3及び4に判示したとおりである。)、このことは課税の公平を確保するために厳格に運用されなければならないこととを併せ考えれば、固定資産税の賦課徴収自体に関する法律関係とその賦課徴収があること又はないことを事実上対価関係に立たせる法律関係又は事実関係とは、法律上も、また経済的観点からも、相互に関連を有していない別個独立のものであり、したがって、固定資産税の賦課徴収権者がその課税要件を充足するにも関わらず賦課徴収を怠り、賦課決定をすることができる期間を徒過して、もはや賦課徴収をすることができなくなった場合には、そのこと自体によって当該地方公共団体に当該固定資産税相当額の損害が発生したものというべきであって、これを賦課徴収しないことを原因として事実上当該地方公共団体に何らかの財産的利益がもたらされる結果となったとしても、その利益の価額相当額が、右賦課徴収をしないことによって生じた損害を填補する関係に立つものということはできない。

別表

第1 借用地一覧表

施設名

借用地

固定資産税額

(円)

3.3m2当たり

月税額(円)

地番

地積(m2)

久米川テニス

コート

久米川町2丁目

21番2他

4,409

1,602.408

100

久米川テニス

コート駐車場

久米川町2丁目

22番1

521

233.824

124

第2少年野球場

廻田町1丁目

10番2他

5,974.59

2,650.370

122

久米川

少年野球場

久米川町4丁目

43番9他

5,119

2,305.063

124

秋津ゲート

ボール場

秋津町3丁目

44番42

1,100.28

555.531

139

廻田町第1

ゲートボール場

廻田町2丁目

6番11

1,225

609.339

137

野口町第2

ゲートボール場

野口町3丁目

26番1他

835

378.494

125

本町第1

ゲートボール場

本町4丁目

2番1他

1,160

841.648

200

久米川町

ゲートボール場

久米川町4丁目

14番7内

2,519

985.254

108

諏訪町

ゲートボール場

諏訪町1丁目

27番33他

670.63

257.334

106

恩多町

ゲートボール場

恩多町3丁目

23番1

1,146

452.605

109

美住町

ゲートボール場

美住町1丁目

8番43他

1,650

842.340

141

多摩湖町

ゲートボール場

多摩湖町2丁目

3番13

750

296.629

109

合計

(地積)

27,079.50

(税額)

12,010.839

126

そうすると、被告の右主張はそれ自体失当といわざるを得ない。

3  したがって、被告は、本件各固定資産税を賦課しなかったことによって、本件各固定資産税の賦課決定をすることのできる期間の経過した平成二年五月一日に本件各固定資産税の合計額に相当する額の損害を被ったものと認められる。

五結語

以上によれば、本件各固定資産税の合計額に相当する額の損害金及びこれに対する本件各固定資産税の賦課決定をすることのできる期間の経過した後であり、記録上本件訴状送達の日の翌日であることの明らかな平成三年八月三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を東村山市に支払うよう求める本訴請求は理由がある。

よって、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用し、仮執行の宣言の申立ては相当でないからこれを却下することとして、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官中込秀樹 裁判官石原直樹 裁判官長屋文裕)

別紙別表第2〜4〈省略〉

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